語り人 二宮隆の「風の朗読」

朗読通して日本語のすばらしさを伝えていきたい!海外から見た日本についての気付きもシェア出来たらと思います。

【伝わる朗読とは】03:語り手側の意識のこと

前回は、朗読を聞く「聞き手の意識」の面から考えてみました。
そこでは、
(1)聴いた内容を理解する。
(2)理解した内容をイメージ化する。
(3)イメージ化した内容を感じる。
このイメージした内容を聞き手が感じることができる朗読というものを目指すとよいと話しました。
そして、前回は、(2)の聞き手が内容をイメージ化できるようにする朗読をするにはどうしたらよいのかという話をしました。

では、視点を変えて、語り手の意識の側から考えて、聞き手の各段階にそれぞれ対応してみると
(a)聞き手が内容を理解しやすいように語る。
(b)聞き手が内容をイメージ化しやすいように語る。
(c)聞き手がイメージを感じやすいように語る。
ということになるのではないでしょうか。

段階ごとに考えてみます。
(a)
聞き手に話の内容を理解してもらうということです。
それには、語り手と聞き手が理解できる共通の言葉で語ることになります。
ここでは、日本語で語ることになりますね。(当然と言えば当然ですけど)
そして、その語られる言葉の発音が、日本語として意味を理解できる共通のものであること、つまり、適切なイントネーション、アクセントであることになるでしょう。
共通のアクセントとして、標準アクセントというものがあるので、それに合わせた発音が求められます。
また、当然、日本語として話の内容が分かるように、意味を伝えるように語る必要があります。
ある程度の朗読を勉強して、適切な発声や読み(アクセント、イントネーション)ができる状態ということでしょう。

(b)と(c)
ここが朗読の表現面に関係してくるところでしょう。
「b:内容をイメージ化しやすいように語る」と「c:イメージを感じやすいように語る。」は、同じようなことに見えますが、ちょっと違うんです。
色でいえば、bは、ことばでその色を表現すること。cはその色を感じてもらうことという違いでしょうか?でもここでは、一緒とみてもいいでしょう。
朗読のテクニックでいえば、理解した内容をイメージをしやすいように「地の文」「会話文」の違い、「話者」の違い、「場面の展開」をはっきりさせることになります。
これには、適切な間を置いたり、強弱や抑揚をつけて、重要なところ、大切なところ、感情表現などのメリハリをつける。
こんなテクニックを使うことになるでしょう。
まずは、(a)の内容を伝えることができた上で、このイメージ化、表現化の部分をうまく行うことが大事なことになります。

・・・・とはいうものの。

その肝の部分を朗読ではどうすればいいんだということが知りたいわけですよね。
「伝わる」にはどうすればよいのか。
そこで、ここでは、その一つの手がかりとして、語り手の声の成分を考えてみたいと思います。
これが、(b)と(c)の部分である「イメージ化を促すこと」へのアプローチとして、関係してくるのではないかと思うのです。

語り手と聞き手は声を媒介しているわけだから、声について考えるのは当然といえば当然なのではありますが・・・

ということで、次回は、この声の成分について考えてみます。